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限定実験

実験による実験。

調査29日目





・合成獣経過記録


「よしよし、やっと力が戻ってきた感じだぜ。
 やっぱり合成する奴が違うだけで随分変わるもんだなァ?」

「………それは何よりですね」


前回の探索で大量にマナを採取できたため、
ガロやサンへの移植で能力を大きく伸ばすことができた。
心配されていた拒絶反応や暴走も起こらず、非常に順調である。

特にガロは短気な性格のせいで私の合成を待てずに、
他の合成獣研究者に移植を依頼したことに満足したらしい。
その研究者は自身でもオオカミの合成獣をつくりだしていることから、
元がオオカミであったガロの性質と相性が良かったのだろう。
あるいは単純に、私よりも性質を制御する技術に優れていたのか…。

ともかくその結果としてガロは再びオオカミの能力を取り戻した。
これまでのイタチの能力は相性の問題で十分に発揮できなかったが、
元々のオオカミの能力なら更なる活躍が期待できる。

それに私もそのぶん手が空いたので、
レオンとフェルオノへの合成データも追加できた。
非常に充実した探索だったと言えるだろう。

多少、ガロの態度が大きくなったのが気になる点ではあるが…。


「まったく、なんでイタチなんかになったんだよ。
 オマエももうちょっと勉強した方がいいんじゃねぇか?」

「あまりマナの変質を強制的に制御するのも危険なんですよ。
 できる限り自然に移植させるのが一番安全ですからね」

「文句が多いわね………いいから、黙ってなさい。
 ネイが言うんだから、間違ってない、でしょ?」


サンもさすがに以前からの慣れがあるのか、
マナを増強しても問題なく扱うことができるようだ。
体格的な不利はどうしても発生してしまうが、
それも砂を媒体として体外でマナを利用しているため問題はない。

もっとも体格は合成によってある程度変化させられるのだが、
現状でも本人の精神状態と合致してるため無理に変える必要はないようだ。
最初に出会ったときは巨大な機械兵器だったことを考えると不思議なことである。

まぁ、機械であったために精神の概念を持たず、
合成されてから自我が芽生えたと考えれば幼い外見も相応かもしれない。
砂の変化形態でウサギを好む辺り、精神的には普通の少女と変わらないのだろう。

だが良く考えてみれば私自身も一般の精神状態というものを良く知らなかった。
いずれは島の外に出て様々な人間を調査してみたいものである。


「ハッ、仲がいいこったな。
 オマエこそ小僧にかまけて足引っ張るなよ」

「ガロも、構ってほしい、の?
 それならそうと、言えばいいのに………」

「なッ、そんなわけねぇだろうが!?
 そんなもん頼まれたってお断りだぜ」

「素直じゃないの、ね………まぁ、いいわ。
 どっちみち、遊んであげないわよ」


しかし、能力的に順調でも性格的には前途多難であるらしい…。
ガロは以前から乱暴な性格が気になっていたが、
サンも選り好みが激しいせいで色々と問題が起こりそうだ。
まだ大きな問題はないがいずれは道徳的な教育も必要になるかもしれない。

もっとも、性格が厄介なだけで根本的な問題はないとも思える。
ふたりとも口が悪いだけで実際にはそう仲が悪いわけでもないのだろうか。
この辺りの人間関係というものも私に取ってはまだ研究不足である。

いや、合成獣に人間関係というのは正確でないか。
この島でなら大した違いはないが外に出たらそうも言っていられないだろう。
島の外で円滑な対人関係を築くには私も含めてこれから勉強が必要だ。
まぁまずはここでの調査を無事終わらせてからであるが………。


「………そう言えば、ふたりは島を出たらどうするつもりですか?」

「あァ、何だよ、いきなり?
 俺は姐さんのとこに行くって言ってんだろ」

「その後はどうするのですか?
 そのまま街で暮らすにしても色々大変でしょう」

「ハッ、そんなもん行ってみなきゃわかんねぇだろ」

「相変わらず、適当、ね。
 ………私は、ネイについていく、でしょ?」

「それこそ適当じゃねぇか…。
 小僧がいれば何処だっていいってのか?」

「そう、よ………細かいことは、気にしない」

「つまり、ふたりともあまり考えていないのですね…」


………彼らに計画的展望というものを期待したのが間違いであった。
この島ではともかく外の世界では適当に動くと危険だろうし、
しばらくは目を離さないように気をつけることとしよう。

ただまぁ、この楽観的な性格が多少好ましくもあるのだが。




  1. 2010/05/19(水) 20:00:00|
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