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限定実験

実験による実験。

調査4日目





前回の記録で補足事項を書き終えたので、
ここからは遺跡の調査報告に専念する。

まずその保存状態であるが、これは非常に悪い。
部分的に舗装された床や壁や階段が見られる以外は、
天蓋の欠片すら残っておらず全くの自然と同じ状態である。
ただし私や主人にとって考古学や歴史学は専門外なので、
この遺跡の価値や荒廃の原因などは推測できない。

私たちの調査対象は動植物の環境と生態である。
その点で見ると環境の面では大きな異変はないようだ。
森林や草原の分布状況はごく自然な状態であり、
温暖な気候によって豊かな資源が育まれている。
地下深くまでこの環境が続いていることは特徴的だが、
これは元々傾斜した地形につくられたためと考えられる。

ただし一点だけ大きな疑問点がある。
マナの異変によりほとんどの探索者が遺跡を離れた時から、
現在までの間に地形が大きく変化していることだ。
私も遺跡の外にいたとは言え島には残っていたので、
この原因が地震などの自然現象であれば気付かないはずはない。
だがそのような兆候はまったく感じられなかったので、
自然現象ではなく人為的な力が働いたと考えられるだろう。

しかしその人為的な力とは一体どのようなものなのか。
やはりマナと遺跡の創造者が関連しているのか、
あるいは何か別の存在が介入してきたのか。
この疑問の解明は調査に大きな進展を与えると思われる。


そして何より問題なのは生態の方だ。
環境は正常でもそこに生息するものは完全に異常である。
人間のように言葉を話す動物や自由自在に動く植物など、
この島の外では存在し得ない生物がここには存在している。

これはこの島で生まれた私にとっては異様に思えなかったが、
主人から与えられた資料によって理解できたことである。
知識だけでなく主人の反応からもその異様さは徐々に実感できた。

とは言えこの異様な生態系には一応の解明がなされている。
主人の調査や他の探索者からの情報により、
マナの存在とその作用が明らかになったためだ。
これについては主人の研究の範囲なので割愛するが、
情報は広く伝わっておりすでに多くの探索者の知るところである。

だが、これはあくまでまだ仮説の段階である。
マナの正確な分析は未だに完了しておらず、
それを扱う創造主についても一切が不明だ。
また上記の環境変化による影響も考慮しなければならない。

今後は主人の調査による資料に基づきつつも、
私なりの視点で改めてこれらの解明に挑みたいと思う。
今の私にしかできない調査もきっとあるはずだ。


現在までの探索では特に目新しいものは見られない。
ただしあくまでこの島においての目新しいものは、である。

ここまでの道程は緩やかな平地の草原続きだったので、
見られる生物は小動物以外には野兎や野犬程度だった。
大抵はこちらに気付くと逃げていくので調査にはならない。
だが一部の生物は遺跡を守ることを命じられているためか、
こちらの道を塞ぐように攻撃行動をとるものがある。

このような生物は探索の妨げとなるが、
捕えて調査すればマナの解明に繋がるので無益ではない。
ただ、マナ生物には一部常識を無視したものも存在する。
そのような生物は初めて見る者には異常な存在として映るだろう。

いま目の前の草原に潜んでいる生物もそのひとつだ。
青々と生え揃った草むらのなかでも特に茂っている草、
それを支えているのは茎でも根でもない…。

この島では見慣れた生物ではあるが、
何度見てもあまり気持ちのいいものではない。
かと言って調査対象である限り無視することもできない。
不本意ではあるが早々に捕獲して調査を行うこととしよう。




  1. 2009/11/28(土) 20:00:00|
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